摩擦力・せん断力とは

NISSHAの摩擦・せん断力センサー技術

摩擦力・せん断力とは

物体と物体が接触して動く際、その接触面には摩擦力が生じます。例えば、台の上に置いてある物体を押して動かそうとした場合。物体と台との接触面に、動かそうとする方向とは逆の方向の力が発生します。この力が摩擦力(摩擦抵抗)となります。

摩擦力F’は、重量Wにより接地面から垂直方向に作用する垂直抗力をNとすると、摩擦係数をμとして

F’=μN

の式で表せます。

摩擦係数は、静止状態の静摩擦係数、移動状態の動摩擦係数とで異なり、素材や表面の状態でも異なります。一般的に動摩擦係数より静止摩擦係数が大きくなります。

ハサミやパンチのように、物体のある断面に対して反対の向きの平行な力を加え、断面に沿ってすべりを生じさせて押し切るように切断することをせん断といいます。
このとき、せん断により物体の断面に生じる内力をせん断応力といい、せん断を行う物体にかかる荷重(せん断力)をW、物体の断面積をAとすると、せん断応力tはt=W/Aの式で表せます。

このせん断応力tは、断面全体に均一なせん断応力(平均せん断応力)が生じると考えた場合の数値です。実際のせん断応力は、断面内で均一ではなく、断面の形状でも異なります。
断面によって決まる形状係数をkとすると、最大せん断応力は

t_max=k  × W/A

の式で表せます。

摩擦力・せん断力の一般的な測定方法

物体に生じる力の測定に使われる力覚センサーは各種あります。以下に代表的なものを紹介します。摩擦力・せん断力の測定では、このような力覚センサーを用いて物体に生じる力の変化を検出します。

ロードセル

1軸ロードセル

3軸ロードセル

ロードセルは、軸方向の力の変化を電気信号に変換する変換器です。

力に比例して変形する起歪体を持ち、起歪体の変形量を、ひずみゲージなどで測定することで、力の変化を電気信号として出力します。構造が単純で操作がしやすく、引張り、圧縮方向の力の変化の測定など広く用いられています。これを使うことで、軸方向の摩擦力・せん断力が計測できます。

起歪体の形状を1軸方向にのみ変形する棒状から、円形状に変更するなどにより、XYZの3軸方向、軸周りの回転方向も加わった6軸方向の力の変化を検出できるものもあります。これにより平面方向の移動や、軸回りの回転における摩擦力・せん断力を測定します。

圧力センサーシート

圧力センサーシートは、多数の小型圧力センサーをシート状に並べたものです。

シート状なので軽く、変形した面にも設置できます。床面に設置して物の移動を検知したり、タッチパネルに用いてボタン操作を検出したり、各種用途に利用されます。

一般的に、圧力センサーシートではシート面に垂直にかかる圧力だけ検出され、平面方向の圧力変化は検出できないため、圧力の面内分布のみ測定されます。

NISSHAのフィルム基材を使用したシート状センサーは、センサーがフィルム上にマトリックスとして形成され、多点同時での検出が可能です。圧力だけでなく、摩擦力の面内分布を測定することができます。

※NISSHAの3軸力覚センサーシートの詳細はこちら

摩擦力・せん断力の測定を必要とする分野

摩擦力・せん断力の測定は、様々な分野で行われています。

例えば、ロボット分野であれば、ロボットハンドまたはグリッパーで物を把持する際には、手にかかる圧力を測定して物を壊さないように最適な力で把持する必要があります。

棒状の物を引き抜くように把持する場合は、引き抜く方向とは逆に生じる摩擦力を検知しながら引き抜けば、必要以上に把持する力を強くしなくても引き抜けます。また、ネジで結合された棒をロボットハンドで把持して回すような場合にも、摩擦力を検知しながら回せば、必要以上に大きな力で回して棒を破損させるようなことは起こりません。

※ロボットへの応用についての詳細はこちら

自動車分野であれば、回転部分に生じる摩擦力や、断続的に衝撃を受ける接合部のせん断力をリアルタイムで測定することにより、より安全で効率的な運航が可能となります。

他にも、センサーを敷き詰めた路面上を走行することで、タイヤ接地面に生じる摩擦力をリアルタイムで計測し、安全性が高まるタイヤの構造や素材を研究することにも利用されています。

座席に生じる圧力、摩擦力の分布をリアルタイムで測定すれば、長時間の運転でも疲れない快適な座席の設計にも利用できます。

この他にも、アミューズメント分野や医療分野、社会インフラを支える様々な機器で摩擦力・せん断力の測定が行われています。入力用のタッチパネルでは、従来のタッチパネルのように押されたことだけを検出するのではなく、摩擦力が測定されることで、その力の大きさや方向も検知できます。これにより、ねじる、回す、ずらすなど、従来のコントローラでは制御できなかった動作を、指先1点で入力することが可能となります。より自由度の高いインターフェースを開発することが可能となります。

リアルタイムに摩擦力・せん断力を測定できるNISSHAの面状センサー

摩擦力やせん断力など、物体に生じる力の変化を正確に把握することは、多くの分野、製品で必要とされています。また、摩擦力、せん断力を1点ではなく面で。なおかつ、リアルタイムでとらえることが求められています。

NISSHAの摩擦・せん断力センサーは、フィルム基材を使用し、薄さとフレキシブル性を備えた面状センサーです。フィルム上にマトリックスとして形成されたセンサーにより、多点同時での検出が可能となり、圧力だけでなく、摩擦力の面内分布の測定もできます。

例えば、1mm以下の薄さとフレキシブル性により、ロボットハンドの指先や手のひらに貼り付けて摩擦力を測定することができます。

これにより、最適な力での物体の把持や、接合された物体の接合強度を摩擦力から測定できます。

また、研磨面の摩擦力を測定することで、研磨面の滑らかさを数値化することが可能となります。タイヤやシューズなど、接地面での摩擦力の変化の解析にも利用可能です。点ではなく、面によるリアルタイムな力の変化の測定により、今まで見えなかった物体にかかる力の変化を把握できます。

他にも、医療分野において、ベッドや車いすと患者の皮膚に生じる摩擦力をリアルタイムで測定することで、患者への負担がどのようにかかるのか把握できます。

土木分野では、水や汚泥、セメントなどの流動物が、構造物の壁面に、どのような分布で力を与えながら流れるのか把握できます。

薄さとフレキシブル性を備え、摩擦力・せん断力のリアルタイムマッピングが可能なNISSHAの摩擦・せん断力センサーは、様々な分野で利用可能です。より安全で快適な製品の研究、開発、製造に、NISSHAの摩擦・せん断力センサーをご活用ください。

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